Wednesday, May 14, 2014

第5回エフェクターを作る

今回はPdでエフェクターを作ります。
エフェクターとは、音に「効果」(エフェクト)をつける機械です。
Pdで以下のエフェクターを作ってみます。

  • ファズ
  • ディレイ
  • ワウワウ
以下の授業ファイルをダウンロードして解凍してください。

pd_lesson05.pd.zip

解凍すると、中は以下のようになっています。

ファズエフェクター

ファズとは、入力音の音量を増幅した後に、ある一定の音量から上をバッサリカットするエフェクトです。
よくギターのエフェクターで使われています。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e9/Z.Vex_Fuzz_Factory.jpg
本物のFuzzエフェクターはさらにイコライザーやフィルター等の調整が入り、それぞれの音のキャラクターができています。
また、その音のキャラクターによってはFuzzではなくDistortionと呼ばれる場合もあります。
ここではFuzzの原理を紹介します。

pd_lesson05_faz1.pdを開き、PdコンソールウィンドウでDSPをONにして声を入力すると、波形が表示されます。

入力音量を上げると、波形がアレイの枠をはみ出します。
※これはバグではありません。

波形の表示を変える

波形の表示の変更はアレイのプロパティで「点」「ポリゴン」「ベジェ曲線」のどれかを選択できます。

このはみ出した音の波形を潰すために、[clip~]オブジェクトを挟んだのが、pd_lesson05_faz2.pdです。
※必ずヘッドフォンをつないでください。そのままだとコンピュータのマイクとスピーカーの位置が近いので、大きいフィードバック(ハウリング)が発生してしまいます。


自分の声がデス声になっているのが確認できます。これがファズの原形です。

ファズのAbstraction

Pdでは、名前を付けて保存したパッチを別のパッチで呼び出して使えます。この時、呼び出される側のパッチを「Abstraction」と言います。

「fazunit」というAbstractionがあり、pd_lesson05_faz3.pdで呼び出されています。

アレイの名前と[tabwrite~]のアレイの名前は「$0-faz」になっています。
「$0」を「オブジェクト」に使うと、そのパッチ特有の番号が自動的に割り振られます。これでAbstractionとして複数のfaz_unit.pdが呼び出されても、すべてのアレイの名前は「(特有の番号)-faz」なので、重複が発生せず、Pdのエラーになりません。


Abstractionとして他のパッチで呼び出された時に音量調節のナンバーボックスと波形表示のアレイが親パッチに表示されるように設定されています。

設定方法は、faz_unit.pdの何もないところを右クリック-プロパティを選択してから、親パッチで表示する設定をします。この表示設定の方法はサブパッチの場合と同じです。



Abstractionを呼び出す

pd_lesson05_faz3.pdで[faz_unit]をオブジェクトとして入力し、Abstractionを呼び出しています。
[faz_unit]の中ではフィルターを多段的にかけたりして、音のキャラクターを作っています。

ディレイを作る

ディレイは音が原音から遅れて聴こえるエフェクターです。

pd_lesson05_delay1.pdを開いてください。

「loopsound」というフォルダが同じ階層にあり、中には。
左上のBangボタンをクリックして、音ファイルを読み込みます。
再生のBangボタンをくりっくすると、左から原音、1回だけ遅れたディレイ音が右から聴こえるはずです。

ディレイのフィードバック
原音とディレイ音の割合の調整機能と、何回かディレイが鳴りながら小さくなるフィードバック機能を追加したAbstraction、delay_unit.pdを作りました。

pd_lesson05_delay1.pdを閉じてpd_lesson05_delay2.pdを開いてください。
[delay_unit]がpd_lesson05_delay2.pdに組み込まれています。

いろいろパラメータを変えて音の聴こえ具合を試してみましょう。

チャレンジ


ワウワウエフェクター

ワウワウとはギターやベースに使われる音のエフェクトで、音が「ワウワウ」という音に聴こえることからその名前が付いています。
こんな感じの音です。


その実態は特定の周波数(中心周波数)付近のみを通過させるバンドパスフィルターの効きを強くして、中心周波数を上下に動かしているものです。
ギターのエフェクトペダルを踏んでワウワウさせる方法の他に、音の強弱によって自動的に中心周波数を動かすオートワウというエフェクトがあります。

今回はこのオートワウをPdで再現してみました。
pd_lesson05_wowwow.pdを開きましょう。

パラメータを変えてワウっぽく聴こえるように調整してみましょう。

チャレンジ

このオートワウのパートをAbstraction「wowwow_unit」にしてみましょう。pd_lesson05_wowwow.pdに呼び出してパートを入れ替えてから、pd_lesson05_wowwow2.pdとして保存しましょう。

チャレンジ2

ループのテンポに自動的に合うようにパッチを作り変えてみましょう。


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